Japan,
2022年
6月
27日
|
11:00
Asia/Tokyo

ブッキング・ドットコム、LGBTQ+の旅行者が現在も直面している課題と、すべての人にとってよりインクルーシブな旅を叶えるための方法をご紹介

〜日本のLGBTQ+の旅行者の75%は「旅行中に歓迎されていないと感じる体験や不快な体験をしたことがある」と回答~

【2022年6月27日、日本発表】

「すべての人に、世界をより身近に体験できる自由を」を企業理念に、多種多様な宿泊施設や旅ナカ体験、旅行中のシームレスな移動手段を提供する世界最大級の宿泊予約サイト Booking.com の日本法人 ブッキング・ドットコム・ジャパン株式会社(本社:東京都港区 以下:ブッキング・ドットコム)は、6月の「プライド月間(Pride Month)」を記念して、世界25ヶ国にわたるLGBTQ+の旅行者を対象に実施した調査結果を発表します。毎年6月は、世界的なプライド月間とされており、世界各地でLGBTQ+コミュニティへの支持を示し、権利を啓発する活動やイベントが開催されています。

ブッキング・ドットコムが行ったLGBTQ+の旅行者に関する調査として、これまでで最も広範な本調査*では、日本のLGBTQ+の旅行者の75%は「旅行中に歓迎されていないと感じる体験や不快な体験をしたことがある」という事実が明らかになりました。「旅」という言葉はポジティブな体験や楽しい気持ちを表す言葉ですが、世界中の多くのLGBTQ+の旅行者にとって、実際の旅では、ポジティブな体験だけでなく、ネガティブな体験にもなっていることが分かります。本調査では、LGBTQ+の旅行者の「旅」に対しての考え方や懸念、好み、過去の滞在での体験、現在の実情、そしてよりインクルーシブな旅の未来への期待に焦点が当てられています。

■LGBTQ+の旅行者にとっての旅の現状

本調査では、LGBTQ+の旅行者にとってインクルーシブな旅を実現するうえでの課題が明らかになると同時に、LGBTQ+コミュニティの旅行者にとって、「旅のあるべき姿」と「旅の実際の姿」は全く違うものであることが明らかになりました。日本のLGBTQ+の旅行者の半分(50%)は、「旅とはリラックスして心身ともにくつろげる時間を指すものだ」と回答している一方、実際にはLGBTQ+の旅行者でなければ考える必要がないことや、LGBTQ+の旅行者だからこそ追加で考慮せざるを得ない事柄がいくつもあります。

具体的には、世界のLGBTQ+の旅行者の55%はステレオタイプの対象になったことや(28%)、他の旅行者(18%)や現地の人々(17%)に不快な態度を伴う「旅中に差別を経験した」と回答しています。このことを踏まえると、LGBTQ+の旅行者にとって旅先から現地でのアクティビティの選択まで、旅を計画することが困難であることがわかります。LGBTQ+の旅行者が旅を計画する際に、どのような影響をどの程度受けているかが明らかとなった調査結果は以下の通りです。

  • 日本のLGBTQ+の旅行者の35%は、「自身がLGBTQ+コミュニティの一員であることが旅を計画する際の意思決定に影響を与える」と回答しています。
  • 旅先選びの際には、以下のような考慮が必要だという声が上がっています。
    •  「LGBTQ+の旅行者として、自らの安全性とウェルビーイングを考慮する必要がある」と回答した世界のLGBTQ+旅行者は64%にのぼっており、その中で最もそのように感じているのは性自認がクィア(75%)やゲイ(74%)の旅行者でした。
    •  日本のLGBTQ+の旅行者の38%は、「自身がLGBTQ+コミュニティの一員であることが、自分が人生で一度は訪れたい旅先のリストに影響を与えている」と回答しています。
  • 日本のLGBTQ+の旅行者の49%は、「自身がLGBTQ+コミュニティの一員であることが、旅の同行者選びに影響している」と回答しています。
  • 日本のLGBTQ+の旅行者の49%は、「自身がLGBTQ+コミュニティの一員であることが、旅先で参加するアクティビティ選びに影響を与えている」と回答しています。

■社会の進歩とポジティブな変化を示す明るい兆し

LGBTQ+の旅行者にとって、インクルーシブな旅の実現までには数多くの障壁がありますが、ポジティブな交流や体験を楽しめている旅行者も多くいます。実際、世界のLGBTQ+の旅行者の85%は、「これまでの旅での経験の大部分は歓迎されていると感じた」と回答しており、特にゲイとレズビアンの旅行者の90%が同様の回答をしました。

また、日本のLGBTQ+の旅行者の52%は「LGBTQ+コミュニティの一員であることがより旅行者としての自信に繋がっている」と感じており、「訪れたい旅先に自信を持って回ることができる」と回答した旅行者は73%を占めていました。このような自信はゲイの旅行者の間で最も強く(世界で87%)、その次にバイセクシュアルの旅行者(世界で86%)が続きました。

世界のLGBTQ+の旅行者の25%の回答者は、「到着前に、宿泊する予定の施設と連絡を取った際には親身に相談に乗ってくれ、有益な情報を得られた」と回答しており、26%は宿泊施設より「現地に関する案内や情報を滞在中に提供された」と回答しました。また、旅先に到着した際、「フレンドリーなスタッフやウェルカムドリンクの提供などがあり、到着時の第一印象が素晴らしかった」と回答したLGBTQ+の旅行者は31%であり、旅行中だけでなく、旅行前や到着した際のポジティブな第一印象も重要であることが伺えます。

■コミュニティとつながることの重要性

ブッキング・ドットコムの調査によると、旅先で出会えるLGBTQ+コミュニティの存在は多くのLGBTQ+旅行者の意思決定において重要であり、そのコミュニティならではの魅力を実際に自身で体験したいという想いが下記の結果にもよく表れています。

  • 日本のLGBTQ+の旅行者の35%は「旅先のLGBTQ+コミュニティとその歴史が大切にされている旅先を訪れる可能性のほうが高い」と回答しています。
  • 日本のLGBTQ+旅行者の36%は「旅先でのLGBTQ+コミュニティの歴史について深く学べるような旅を選ぶ可能性のほうが高い」と回答しています。

LGBTQ+の旅行者は、「旅での体験を豊かにするために旅先のLGBTQ+コミュニティとのつながりを得たい」と思っている一方、様々な企業や団体がLGBTQ+コミュニティをサポートし、理解を深めることも望んでいます。事実、日本のLGBTQ+の旅行者の38%は、「LGBTQ+コミュニティに合わせてカスタマイズされた観光スポットやアクティビティを探す可能性のほうが高い」と回答し、40%は「予約前に旅先の宿泊施設や会社・団体、アクティビティについて調べ、LGBTQ+コミュニティをサポートする上でそれらの会社や団体が果たす役割を確認している」と回答しました。そしてこのように調べた結果、64%が「LGBTQ+コミュニティへのサポートに努めている会社や団体を予約する可能性のほうが高い」と回答し、企業や団体がLGBTQ+コミュニティの旅行者に向けた情報を発信していくことの重要さが伺えます。

■すべての人にとってよりインクルーシブな旅体験を届けるために

LGBTQ+の旅行者を取り巻く環境において、ポジティブな変化や進歩の兆しが見えつつあるものの、自分がより歓迎されているように感じられる、インクルーシブかつポジティブな旅体験は、LGBTQ+の旅行者をはじめ、すべての人が求めているものです。本調査から、LGBTQ+の旅行者が旅行会社に期待していることについても明らかになり、その結果から今後に向けて考慮すべきことも浮かび上がってきました。調査結果は以下の通りです。

  • 世界のLGBTQ+の旅行者の37%は、「自分の好みや興味に合わせてよりカスタマイズされたおすすめの情報を望んでいる」と回答しています。
  • 世界のLGBTQ+の旅行者の31%は、「現地の法律や宗教による人々の感じ方、服装に関する制限、LGBTQ+へのヘイトクライムの統計情報など、旅先のLGBTQ+コミュニティの状況に関する追加の情報を得たい」と回答しています。
  • 世界のLGBTQ+の旅行者の30%は、「LGBTQ+の旅行者にとってポジティブな体験を提供する宿泊施設を特定できる絞り込み条件を望んでいる」と回答しています。この絞り込み条件は、ブラジル(40%)、ニュージーランド、アメリカ、ベトナム(それぞれ39%)の回答者の間で特に需要が高いことが分かりました。

ブッキング・ドットコムは、よりインクルーシブな体験を提供するうえで宿泊施設が重要な役割を担っていると認識しており、すべての人が自分自身のあり方についての誇りを持って旅を楽しめるよう、行動を起こしています。2021年8月に公開されたブッキング・ドットコムの「Proud Hospitality」トレーニングプログラムは、HospitableMeと共同開発された75分間の「Proud Hospitality」のオンライントレーニングのセッションです。本プログラムは、LGBTQ+コミュニティが旅中に直面する課題についてホスピタリティ業界で働く人々の理解が深まるようサポートするとともに、それぞれの宿泊施設ですぐに実践できる実用的な情報を提供することを目的としています。トレーニングはブッキング・ドットコムの全世界のパートナー施設に無料で提供されており、「Travel Proud Customer Toolkit」などの追加のリソースも含まれています。本リソースは、「Proud Certified」の認証を得た宿泊施設がゲストに対応する全スタッフと共有するように奨励されているもので、LGBTQ+のゲストからの質問に自信を持って答え、歓迎されているとより強く感じられるような体験を提供するために役立てることができます。

現時点では、全世界のパートナー施設に英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語で提供されており、全世界で95の国と地域で1万軒を超える「Proud Certified」の認証を得た宿泊施設がブッキング・ドットコムに掲載されています。

オンライントレーニングを修了し、「Proud Certified」の認証を獲得したパートナー施設の施設ページには、より居心地の良い体験を期待できることをユーザーに示せるよう、「Travel Proud」のバッジが追加されています。これにより、本認証を得た施設がよりインクルーシブなホスピタリティを標準的な要素とすべく取り組んでいるかことが明確になり、LGBTQ+の旅行者の安心感につながります。「Proud Certified」認証施設は世界中にあり、「Travel Proud」の専用ページで詳しくご紹介されています。このページでは本取り組みへの知識を深められるほか、「Proud Certified」認証施設を検索・予約することも可能です。

ブッキング・ドットコムのCMO兼シニア・バイスプレジデントであるアルヤン・イクは次のように述べています。
「ブッキング・ドットコムでは、誰もが常に自分らしく世界を体験できるべきだと信じています。旅行において、リラックスすることから様々な文化を体験することにいたるまで、LGBTQ+コミュニティの旅行者は他のあらゆる人々と同じことを望んでいると思います。旅行業界は、愛の形やアイデンティティ、国籍や出身地なども問わず、すべての人にとって自分が歓迎されていると感じられる体験を当たり前のものにする必要があります。私自身、ゲイの旅行者として旅行での困難や差別に直面してきましたが、時が経つにつれて確実に変化が起きていることを実感しています。LGBTQ+コミュニティの全てのメンバーにとって包括的なおもてなしを保証するために、まだまだ変革が必要です。世界のどこでも真のインクルーシブな体験を享受できるように、より大きな変化を描きながら道を切り開くことができると信じています。」

調査はブッキング・ドットコムによって、アルゼンチン(100)、オーストラリア(300)、ベルギー(100)、ブラジル(250)、カナダ(402)、コロンビア(150)、クロアチア(101)、デンマーク(100)、フランス(500)、ドイツ(502)、香港(100)、インド(201)、イスラエル(101)、イタリア(300)、日本(200)、メキシコ(151)、オランダ(250)、ニュージーランド(100)、スペイン(200)、スウェーデン(102)、台湾(100)、タイ(100)、イギリス(502)、アメリカ(502)、ベトナム(100)の5,514名のLGBTQ+の旅行者を対象に独自に行われたものです。本アンケートは、2022年4月と5月にオンラインで実施されました。